明け方、4時ごろだった。
誰かが自分を呼んでいる。女性の声だ。
「〇〇さん」
あまりにはっきり聞こえたので起きてしまった。
見回せば妻も子供もスースー寝ている。
道を歩く人の声が近くで聞こえることがあるので、しばし耳を澄まして人の気配を感じ取ったりしていたが、その様子はなかった。
普通なら「なあんだ、夢か」で終わりなのだが、
最近は、また何か起きたのではと心配である。
妻は私のことを「〇〇さん」とは呼ばない。
私の母はそう呼ぶが、もっとずっと年齢の上の人の声に聞こえた。
「母が死んでたりして」などと不謹慎なことを考えつつ、またすぐ寝てしまった。
翌朝、もちろん母は顕在だったし。誰かが夜中に話していたというような情報もない。
まあ、ただの夢だったということだ。